皆様は司法書士の業務内容と言われてどんなことを思い浮かべますか?
司法書士は名前に"法"と入る通り、法律の専門家です。
弁護士も法律を専門としていますが、交渉や裁判などの紛争の相談事を業務にすることが多いです。
司法書士は暮らしの中でもっと身近な法律の相談、例えば不動産登記や債務整理、遺産相続手続などを扱う「あなたの街の身近な法律のプロ」といえます。
今回はそんな司法書士のできること・できないことについて紹介をしてまいります。
司法書士の主な業務は登記業務。
不動産登記、商業・法人登記、相続登記の他に遺産相続手続・遺言証書作成の代行、成年後見人の選任などが挙げられます。
これらの手続きはマイホームを購入した際や身内が亡くなった際など、暮らしにおいて意外と身近なところで発生する手続きです。
とはいえ、どれも人生でそう何度もあることではないので、どうすれば良いのかわからないという方が多いです。
司法書士はそんなお悩みをお持ちの方の法律相談に乗り、解決するのが仕事です。
他にも、以下の4つの業務が司法書士のできることとして挙げられます。
司法書士は、請求訴訟額が140万円以下の民事訴訟でしたら、代理が可能です。
供託とは、金銭・有価証券などを供託所に管理してもらい、供託所がその財産を第三者に取得させる手続きです。これによって、本来支払わないといけないものを支払っていないというトラブルを未然に防ぎます。
例えば、賃貸の住人が家主に家賃を支払おうとしたところ、不当な家賃の値上げを要求されるなどトラブルになることがあります。もし今までの家賃を支払おうとして受け取りを拒否されてしまった場合、住人は供託所に家賃を提出することで支払い義務を果たしたことになります。
司法書士はこの供託手続きを代行することができます。
筆界とは、土地と土地の境となる位置を示す言葉です。
土地の所有者同士が筆界を巡って争うことになった場合、筆界特定制度によりこの争いを和解に結びつけることになります。認定司法書士は申請者の代理人として、対象土地の価格の合計額の2分の1に100分の5を乗じた額が140万円を超えない場合のみ申請者の代理人になることができます。
日本で暮らす外国人の方が日本国民になる場合は、帰化申請の手続きが必要となります。
その際、法務大臣の許可を得るために様々な書類を準備して審査を通らないといけません。
煩雑な手続きとなりますが、司法書士はこの帰化申請手続きの相談を受けるだけでなく、書類作成代行も行うことができます。
ここまで司法書士にできることを紹介してまいりましたが、逆に司法書士は何ができないのでしょうか?
これまで記載してこなかった内容で、他の士業が専門とする分野があります。
例えば、各種手続きの際に当事者同士で折り合いがつかず裁判となる場合、その紛争解決に関する手続きや代理ができるのは弁護士のみです。
また、司法書士が訴訟の代理業務を行えるのは簡易裁判所のみとなり、更には一定の金額以下であることが定まっていることがほとんどとなります。
どの士業にもいえることですが、決められた役割の範囲内でしか業務をすることはできないので、万能ではないということは頭に入れておきましょう。
今回は司法書士のできること・できないことについて紹介をしてまいりました。
司法書士は万能といえるわけではありませんが、2002年の司法書士法改正をはじめその活躍の場は徐々に広がってきています。
また、司法書士でないと出来ない手続きもあります。
例えば遺産相続の手続きにおいて家などが絡む場合、不動産の名義変更手続き(相続登記)は司法書士にしかできません。
このように、身近な法律相談に関しては他の士業よりもできることが多いのが司法書士といえます。
もし法律相談を誰にすればいいかわからない場合は、身近な司法書士に相談してみてはいかがでしょうか。